duckman – ページ 6 – JUiCANDSEA

Dusty In Memphis

ダスティ・スプリングフィールドの最高傑作『Dusty In Memphis』。
https://www.youtube.com/watch?v=uz3znHG70dk&list=PLKJyngu9CVDvBiG4qncGCKM1vA5Wl28DH

The Look Of Love

ダイアナ・クラールのThe Look Of Love。
このバージョンの方が心が落ち着く。母性のようなものを強く感じる。

オリジナルはダスティ・スプリングフィールド。オリジナルはオリジナルで原点的な重みを感じてこれもまたよい。

地獄の思想

梅原猛著
中公文庫 360円

梅原猛氏の最初の書き下ろしである。
梅原猛ファンとしては必読の入門書ではないないだろうか。

最初に読んだのが1987年で、大学生の頃だから
30年ぶりの再読になる。
内容をほとんど覚えていないので再度発見というか、
30年前に一体何を読んだのかとおもう。
地獄が極楽より広いのは再読して初めて知った気がする。

源信が極楽と地獄を結びつけたのも記憶に残っていない。
それをしったからといってなにがどうなるということはないけれど。

はかりきれない世界の単位

米澤 敬 著 1600円+税
日下 明 イラスト 
創元社

ファンタジーあふれる単位の事例集。
いくつかご紹介。
たとえばオルファクティー。
オランダの生理学者ツワーデマーカー考案の臭覚計で計測した
常人の臭覚度をさす。
いまはその臭覚計はないので幻の単位に。
仏教の経典からは盲亀浮木を取り上げている。
盲亀浮木(もうき-ふぼく)の意味は
目の見えない老海亀が100年に1度、海上に浮き上がった時
偶然穴のあいた浮き木に首をつっこむ確率という意味。 
盲亀浮木は確率の単位で約115京分の1。
牛の声の聞こえる距離をクローシャといったり、
猫がひとっ飛びする距離をカッツェンシュプルングといったり。
ここで紹介されているメトン周期とは太陽暦と太陰暦が一致する周期のことで、
太陽暦の19年に相当するなど、どういう認識で世界を切り取っているかを感じられるエピソードが満載されている。
いずれも地域の文化を感じる、ナラティブにあふれた逸話が収められている。
クリエイター必読の絵本。

学習の3つの段階

バイオリニスト、メニューイン(Menuhin)が
学習には3つの段階があると解説している。

右手、左手を問わず、テクニックを向上させるさいには3つの段階を経る。

第1の段階は関節を幼児のように柔軟にすること、
これは各関節ごとにチェックする必要がある。
第2の段階はその柔軟な動きを整合させ、弾力性およびバネの力を増進させること。
そして最後にくる第3の段階は力強さ、堅固さ、自由さをさらに発展させること。
この3つの段階は順序を変えては決して生じ得ない。
たとえば堅固さが弾力性よりも先にきたとすると、
硬直という悲惨な結果を生むだけに終わってしまう。
さらに弾力性が完全な柔軟さ、受動的な感じに先んじたとすると、
どこか緊張したぎこちなさが残るはずである。
ヴァイオリニストは、楽器をとり上げたとき、
いつでも正しい順序でこの3段階をふむ用意をもたなければならない
ユーディ・メニューイン「ヴァイオリン奏法」音楽の友社刊より

つまり
1.柔軟
2.弾力
3.力強さ、堅固さ、自由さ
の順番を守るということ。非常に示唆に富む話である。

疋田桂一郎の文章

疋田桂一郎氏はジャーナリストで朝日新聞のコラム、
「天声人語」でおなじみだった名筆家のひとりである。
彼の文章は深代惇郎氏と並んで大変読みやすくかつ品があり
大学新聞社のサークルに所属していた時分、
何度も彼らの文章を写経して学んだ。
特に疋田氏の『新・人国記』の「青森県」は名文で
まだ読んだことのない方にはぜひ一読してほしい文章だ。
せっかくなのでここで頭出しを紹介しておこう。

雪の道を角巻きの影がふたつ。
「どサ」「ゆサ」
出会いがしらに暗号のような短い会話だ。
それで用は足り、女たちは急ぐ。
みちのくの方言は、ひとつは冬の厳しさに由来するという。
心も表情もくちびるまで
こわばって「あららどちらまで」が「どサ」「ちょっとお湯へ」が「ゆサ」。ぺらぺら、 
くちばしだけを操る漫才みたいなのは、何よりも苦手だ。

こぎみよい文章のリズムと情景が広がる表現、適度な漢字とひらがなのバランスと体言止め。
いまでも彼の天声人語時代の文章は好きで
何度も読んでは自分のフレームワークになるようにしている。

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