ロボットは東大に入れる よ

「ロボットは東大に入れるか」という問いかけは2014年で、当時はいまほどAIが発達していなかった。

さすがに文章題の多い東大は無理かと、人間として安心していた矢先、2025年、東大理科三類の最低合格点をAIがとった。

上記の本の著者、新井紀子さんは訂正して再度改訂版「ロボットは東大に入れるよ」をだしてほしい。
「よ」はいれてほしい。
「ロボットは東大に入れる」だと事態が重い。

東ロボくんは東大には入れなかった、AIの限界、とあれだけAIを馬鹿にしていたのに今更それはない。
人間がAIに勝つためには「読解力」を磨くしかない、つまり読解力は人間の方が上だといってAIを散々蔑んでいた。

が、文章題、読解力がないと解けない東大理3にはいれてしまった。

今後さらに磨きがかかって、センサーとAIが連動していくと、体感までAI化されるのでますます大半の人間よりAIの方が正しいし、AIの方が倫理的で人格が立派でAIの方が理想の人!、ということになりかねない。

しかしながら、AIは質問には完璧に答えられるものの、その答えに応じたものをちゃんとつくることができないらしい。
これを「ポチョムキン理解」という。

そうなると東大理3にははいれるが、自分の主張をまとめた卒論をちゃんと書けないということなので、卒業はできないということか。

新井紀子さんはそのあたり専門的に理解されているはずなので、改訂版「ロボットは東大に入れるよ - でも、卒論は書けないので卒業できないよ -」という改訂版を緊急出版してほしい。

疎結合の生成AIと私たちのおおざっぱな行動

エヌビディアは高精細なグラフィックを表現する密結合の行列ではいきてくるが、疎結合の生成AIには大仰すぎるという話。
動画でもたとえられているが、アメ車で日本の街を走っても、コンパクトな日本ではアメ車だと無駄にガソリン代と維持費ばかりかかるということ。

生成AIの時代が本格的になると、エヌビディアよりももっと小回りのきく、無駄のないSambanovaRISC-Vがこれからは台頭してくるのではという、今後の流れがわかる動画。

人間は大雑把な決断と行動をくりかえすので、それに最適化していく環境や状況を先にしっておくことは極めて大事である。

このあたりを要チェック。

ダンゴムシはダンゴエビ

約3億年前の古生代に、海から陸へと上がって進化したといわれるダンゴムシはいまだに昆虫ではなく、エビの仲間、つまり甲殻類である。
3億年たっても虫の姿にならないのは、14本の足を減らさずに陸上生活へ適応したからだ。
肺呼吸に変えたわけではなく、エラを空気呼吸用に改造して生き延びたため、科学的な分類としては甲殻類のままに仕分けされている。
もし昆虫の仲間入りをしたいのであれば、触角を2本にし、体を頭・胸・腹にハッキリ分け、胸から足を6本だけ生やさないといけない。
体の節の分かれ方と足の状態をもって昆虫とするのが、科学上の仕分けである。

ダンゴムシは本当はダンゴエビというべきなのだ。

Aesop 思考を調律する「香りの作法」

思考が袋小路に入り込むとき、私たちの脳内では、自己が構築した不条理な無限ループが形成されている。

デザインの最適解が見出せないときも、プログラムのコードが同じバグを再現し続けるときも現象としては同義だ。
出力(アウトプット)が最適化されない根源は、入力(インプット)する技術の不足ではなく、システムを駆動させる「心の恒常性(ホメオスタシス)」の乱れにある。

元『暮しの手帖』編集長でエッセイストの松浦弥太郎氏がかつて、雑誌『Pen』の随筆で、自身の精神を調律するデバイスとしてAesop(イソップ)のハンドクリームをあげていた。
多くのクリエイターに愛用されるこのプロダクトは単なる表皮の保湿剤ではなく、認知をリセットするための優れたトリガーとして機能している。
丁寧なライフスタイルを実践する者とは、この自己調整(セルフ・レギュレーション)の初期動作が極めて的確なのだろう。

先達の合理的な選択に真似して、私も2012年あたりから愛用している。
ハンドクリームは何十個と常に所有し、ハンドBOXに入れて仕事時はいつでも取り出せるようにしていて、Aesopは断然オドラント(匂い分子)の濃度が高いためか、気分を高揚させるために選択することが多い。

思考が行き詰まったときは環境を切り替えるのが一番だ。

何種類かのAesopのハンドクリームがあるが、その時の気分にあうのを感覚で選んで、両手に擦り込み、黒の容器のボディスプレーを浴びる。

Aesopが放つ揮発性有機化合物(香気成分)は、閾値(いきち)が高く、空間に対して明確な濃度を持って拡散する。
しかし、その強い刺激はストレスとはならず、脳に深い安堵感をもたらす。
そこには、植物の進化がもたらした天然の化学物質と、計算された調合の妙がある。

香気成分の構成と生体への作用

  • 主要成分: ラベンダー、マンダリン、ローズマリー、シダーウッドなどの精油(エッセンシャルオイル)。
  • 作用機序: モノテルペン類を多く含む柑橘類の香りが中枢神経系を適度に覚醒させ、セスキテルペン類を含むハーブやウッドの重厚な香りが、過剰な情動を抑制して意識の定位(グラウンディング)を促す。

この香気による心理的変容は、抽象的な「気分」の領域ではなく、極めて物質的な生理現象である。
具体的には、末梢から脳へと繋がる第X(10)脳神経――「迷走神経(めいそうしんけい Vagus nerve)」を介した生体フィードバックに他ならない。

視覚や聴覚とは異なり、嗅覚受容体が捉えた化学情報は、視床を経由せず、情動や記憶を司る大脳辺縁系(扁桃体や海馬)へダイレクトに投射される。
呼吸と共に吸入された芳香分子は、嗅球を通じて自律神経の最高中枢である視床下部に作用し、迷走神経のトーン(活性度)を上昇させる。
結果として交感神経の過緊張が抑制され、副交感神経が優位となる。
これにより、心拍数の低下や内臓平滑筋の弛緩が起こり、生体は物理的に「安全モード」へと移行する。

思考の迷走を、迷走神経の物理的な調律によってハッキングするのがもっとも正当で効果測定できるやり方である。

香気成分の受容を通じて落ち着きを取り戻すプロセスは、混沌とした脳内システムを自然の有機的秩序へと再同期(シンクロナイズ)させる、サイエンティフィックな儀式だ。
無限ループという論理の破綻を解消するのは、更なる論理の積み重ねではなく、一筋の芳香分子が誘発する迷走神経の「リセット信号」なのかもしれない。

気持ちを切り替えるという日常のシークエンス(もしくはルーティン)にこそ、人間の認知機能を最大化させる鍵が隠されている。