現代の資本主義は、私たちの思考を支配する「文脈」そのものだ。
深井龍之介氏が指摘するように、それは労働力の市場化、金銭動機への一元化、価値の数値化、生産人口への依存、資本の自己増殖という5つの特徴に規定されている。
このシステムは物質的な豊かさをもたらしたが、今や「本当に意味のある指標の欠如」という壁にぶつかっている。
近年、環境や社会への配慮を測る「ESG投資」が注目されているのも、従来の金銭的リターン以外の指標をシステムに組み込もうとする、資本主義の機能補正の表れと言える。
本能で動く「真社会性」の蟻とは違い、人間は信頼や倫理を共有して協力する「超社会性」の生物だ。
しかし、この超社会性に根ざした幸福の指標はいまだ未確立であり、物差しがないゆえに富の分配や最適化が機能不全に陥っている。
上からの制度や投資マネーの変革を待つだけではなく、私たちは足元から動くべきだ。
ソーシャルグッドな取り組みを自ら提示し、互いに見せ合う草の根の可視化。
この相互開示こそが、ESGの精神を真に血の通ったものにし、資本主義の次なる文脈を紡ぎ出す第一歩となる。
