松浦弥太郎さんが100の小物のひとつにあげている小説である。
内容はかかれていない。
エログロナンセンス系の戯曲だそうだ。
読んでみようとおもったが古本で5,000円くらいする。
売り切れ前のある本屋では50円だった。
中身がおもしろいかどうかわからない本に5,000円はどうも気が進まない。
ふつうに5000円くらいの本は購入するがこれに関しては躊躇する。
1,000円ならばポチッていたかもしれない。
図書館にもない、デジタル化もされていないので
一般的な価値がそれほどないのかもしれない。
なぜ松浦さんは100の中にこれをいれたのだろうか。
ほんとうに自分をしってほしい100の小物のひとつなのか。
手に入らないという希少なものをもっているという意味でのええ格好をしたいだけなのか。
5,000円で先ほど別の本を購入した。
コストパフォーマンスでどうしても考えてしまう。
カテゴリー: Books
密かな結晶
小川洋子 著
講談社文庫
閉ざされた世界で何かを失っていく表現が好きな作者の世界観は
とても静かできれいだ。
読みやすい文章、構成はさすがニューヨーカーで
紹介されただけのことはある。
失うということはどこかきれいな感じがする。
ペロー童話集
天沢退二郎 訳
ペロー童話は民間伝承からえた物語集のうちでも最も古いものといわれている。
いまでも広く語られている
「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「シンデレラ(サンドリヨン)」を掲載している。
長靴をはいた猫について
天沢退二郎訳と池田雅之訳はいろいろと違っていて
比較しながら読んでみるとおもしろい。
たとえば冒頭のシーンの長男に相続されるものでは
天沢訳では水車、池田訳では粉挽き器、また楠山正雄訳では風車になっている。
おそらく水車、風車は水車小屋のことである。
水車小屋は不動産をさす。
つまり不動産は長男に
ロバは動産で、次男には動産を譲る。
猫は用途不明で三男にはのこりのものをということか。
しかも猫の肉は食べてのこりはマフ(両側から手を入れて暖めるグッズ)にするしかないと
三男にいわれては猫にしてもたまったものではない。
この辺りの残酷さ、サイコパスさは昔の童話の醍醐味でもある。
平和で毒の少ない時代だと読んでいていろいろ興味をそそられる。
人間を幸せにする猫の童話集
ジョン・リチャード・スティーブンス 著
世界中から集めた、猫にまつわる童話が味わえる。
中国では猫は夜な夜な集まる邪悪な鬼たちを払ってくれているという。
ヨーロッパでは悪霊の手先とされている。
おとぎ話に頻繁に登場するのはどうも犬よりは猫の方が圧倒的に多い。
日本の猫童話はこの童話集を読むまで知らなかった。
どの話も面白いが「長靴をはいた猫」のいくつかのバージョンがあるので比較してみるとより味わい深い。
知の教室
佐藤優 著
文春文庫
ロシアの外交官だけあって、ロシアの章は内容が濃い。
地獄の思想
梅原猛著
中公文庫 360円
梅原猛氏の最初の書き下ろしである。
梅原猛ファンとしては必読の入門書ではないないだろうか。
最初に読んだのが1987年で、大学生の頃だから
30年ぶりの再読になる。
内容をほとんど覚えていないので再度発見というか、
30年前に一体何を読んだのかとおもう。
地獄が極楽より広いのは再読して初めて知った気がする。
源信が極楽と地獄を結びつけたのも記憶に残っていない。
それをしったからといってなにがどうなるということはないけれど。
はかりきれない世界の単位
米澤 敬 著 1600円+税
日下 明 イラスト
創元社
ファンタジーあふれる単位の事例集。
いくつかご紹介。
たとえばオルファクティー。
オランダの生理学者ツワーデマーカー考案の臭覚計で計測した
常人の臭覚度をさす。
いまはその臭覚計はないので幻の単位に。
仏教の経典からは盲亀浮木を取り上げている。
盲亀浮木(もうき-ふぼく)の意味は
目の見えない老海亀が100年に1度、海上に浮き上がった時
偶然穴のあいた浮き木に首をつっこむ確率という意味。
盲亀浮木は確率の単位で約115京分の1。
牛の声の聞こえる距離をクローシャといったり、
猫がひとっ飛びする距離をカッツェンシュプルングといったり。
ここで紹介されているメトン周期とは太陽暦と太陰暦が一致する周期のことで、
太陽暦の19年に相当するなど、どういう認識で世界を切り取っているかを感じられるエピソードが満載されている。
いずれも地域の文化を感じる、ナラティブにあふれた逸話が収められている。
クリエイター必読の絵本。
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの
角川EPUB選書
松尾 豊著
いわゆる連語=コロケーション、共起語の初期から人口知能を研究してきた松尾氏の好著。
日本語の作文技術
朝日文庫
本多勝一著
ジャーナリスト、本多勝一氏の名著。
学生時代、大学新聞で記事を書いていたときに非常に役にたった実践の書。
いま再読しておもうのは文章表現が時代を経たためか、
いささか古いように感じること。
当時の左翼全盛期の青臭い匂いは多少するが
それはそれとして。味わいというもの。
この本はジャーナリストらしい、わかりやすい、伝わりやすい文章とは
どうすればかけるのかを、順をおって説明している。
構成の立て方、たとえば修飾の順番、助詞の使い方など、
著者が理系出身なだけあって
文章を分解して理解しやすいようにしている。
漢字と仮名のバランス、リズムなどはこの著書で知って
それ以来気にしている。
デザイン的にもここは漢字にした方がビジュアル的に
きれいだとか、リズムがいいとか、
文末には漢字をつかわないとか(して下さい → してください)。
レビューをみると自己主張しすぎなどの批判はあるものの
そこは割愛して読み飛ばせばいいので
活用できるところは活用したほうがいいのではとおもう。
配色の設計
ジョセフ=アルバースの知見が垣間見れる。
配色に関する実験なので、
デザイナーは要チェック。