2020年6月 – JUiCANDSEA

密かな結晶

小川洋子 著
講談社文庫

閉ざされた世界で何かを失っていく表現が好きな作者の世界観は
とても静かできれいだ。
読みやすい文章、構成はさすがニューヨーカーで
紹介されただけのことはある。
失うということはどこかきれいな感じがする。

ペロー童話集

天沢退二郎 訳

ペロー童話は民間伝承からえた物語集のうちでも最も古いものといわれている。
いまでも広く語られている
「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「シンデレラ(サンドリヨン)」を掲載している。

長靴をはいた猫について
天沢退二郎訳と池田雅之訳はいろいろと違っていて
比較しながら読んでみるとおもしろい。
たとえば冒頭のシーンの長男に相続されるものでは
天沢訳では水車、池田訳では粉挽き器、また楠山正雄訳では風車になっている。
おそらく水車、風車は水車小屋のことである。
水車小屋は不動産をさす。
つまり不動産は長男に
ロバは動産で、次男には動産を譲る。
猫は用途不明で三男にはのこりのものをということか。
しかも猫の肉は食べてのこりはマフ(両側から手を入れて暖めるグッズ)にするしかないと
三男にいわれては猫にしてもたまったものではない。
この辺りの残酷さ、サイコパスさは昔の童話の醍醐味でもある。
平和で毒の少ない時代だと読んでいていろいろ興味をそそられる。

仙厓義梵


臨済宗古月派の禅僧で画家である
仙厓 義梵(せんがい ぎぼん)の絵は
非常にかわいくてほほえましい。
○△□はとりわけ有名だが、
その他のユーモラスな情景はいまでいうところのエモい。
紙袋に頭をつっこんだ猫があとずさりして
袋からでようとしてうまくいかず児童が笑っているという
「紙袋と猫」はいまでも見られる日常の光景で
眺めていると心が和む。
心が和む絵画は絵画の極みである。

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人間を幸せにする猫の童話集

ジョン・リチャード・スティーブンス 著

世界中から集めた、猫にまつわる童話が味わえる。
中国では猫は夜な夜な集まる邪悪な鬼たちを払ってくれているという。
ヨーロッパでは悪霊の手先とされている。

おとぎ話に頻繁に登場するのはどうも犬よりは猫の方が圧倒的に多い。
日本の猫童話はこの童話集を読むまで知らなかった。

どの話も面白いが「長靴をはいた猫」のいくつかのバージョンがあるので比較してみるとより味わい深い。

インフレ率2%の根拠

2019年の日本のインフレ率は0.99%だが
目標としているインフレ率は2%である。
インフレ率2%の根拠は
日本での最低失業率が2.5%としているので
それを達成するための最小のインフレ率が
2%だからである。
先進国の自然失業率の水準は4%だから
(NAIRU(Non-Acceelerating Inflation Rate of Unemployment、
インフレ非加速的失業率 自然失業率)
4%を下限にしてそれを最適達成する最小のインフレ率が
2%ということでもある。
失業率2.5%を達成したら半年、1年以内には
賃金がだいたい3%あがるといわれている。
IT補助金を申請して
それを受けるための条件に
社員の給与を1.5%アップさせることと与件にあるが
これは上記の賃金が3%ほどあがることへのアシストなのかもしれない。
ざっくりでもいいので一旦数値化しないと
なにごともなかなか動きにくい。

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