勝者の指標とデザインの現場
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最近、経営実務や分析の世界で
KPIが話題になっている。
KPIとは重要業績評価指標(Key Performance Indicator)の略で、どういう基準をもって成果を評価するかということである。
指標をもたずに闇雲にがんばるのではなく、ものごとを定量化し、比較検討できるようにすることで
より効果的な施策がだせるのではないかという、一種のビジネスフレームワークである。
重要業績評価指標は今に始まったことではなく、優れた戦略家は実は以前からおこなってきたことで
なぜいま話題になっているのかが逆に不思議な感じがする。
かつて日本陸軍の参謀で戦略家の堀 栄三は
『大本営参謀の情報戦記』で当時の
戦闘の趨勢をはかる指標は鉄量であると記している。
つまり
戦争に勝つのは戦場に投入される鉄量が多い方だということである。
この発見で日本軍はどうしたか。
日本は鉄量戦では勝てないので、鉄量に影響されない戦闘法に切り替えた。
具体的には
- 海からの艦砲射撃を発揮しない島の中央部などに陣地をつくる
- 米軍への水際攻撃を避ける
- 基地防護壁は敵戦艦の主砲に耐えるコンクリート厚2.5メートルにする
ということをした。
これをビジネスの世界にヨコテンすると
ビジネス弱者はいまある勝者の指標を明確にしてから、勝者の指標そのものを無効化する戦略をたてる。
また違う指標、自分に圧倒的に有利な指標をたてて実行する。
トレーダーやエキスパートではもはやコモディティ化されている日本では戦いには勝てないと
経営コンサルタントで客員准教授の故、瀧本 哲史氏は
「僕は君たちに武器を配りたい」で結論づけている。
マーケッターやイノベーター、リーダー、インベスターになる、もしくはそれらを兼ね備えるという方法しか日本では勝てないと語っている。
デザインやコンテンツの世界でもたしかに同じ風景がみえる。
単に手先が器用なことが重宝されたデジタル以前の時代、1990年あたり以前は過去となり、
いまやAdobeのフォトショップやイラストレーターはつかいこなせることが当たり前になっている。
ウエブでもhtmlくらいのコーディングができることは当たり前で、フロントエンドエンジニアであるための様々な技術は
誰もがYOUTUBEやドットインストールなどのオンライン学習サイトで費用をかけなくても学習できる環境はとっくの昔にできている。
そうなると真似ができない方法で新しい風景をつくるということができるかできないか、勝負はそこにかかってくる。
サードウェーブデザイン=手描きのデザインが台頭してきているのはその証拠で、
デジタルで誰もがデザイナーという時代への反動である。
つまり絵が描けないデザイナー、Adobeのデジタルツールのみで完結しているデザイナーはサードウェーブデザインの領域にははいれないし、
手描きデザインの領域ではデジタル完結デザイナーはいっさい戦えないということである。
手先が器用なことが重宝されたデジタル以前の時代に一部分、戻っているということだ。
これは真似ができない方法で新しい風景がうみだされたということになる。
「デザインの現場」という雑誌が随分以前になくなった。
かなり初期のころから愛読していたが、ある時期からはいつも同じようなメンバーで同じような作品や特集を組んでいたように思う。
これでは近々行き詰まるのではないかとおもっていた。デザインは伝統工芸ではないという感じをもっていた。
では90年代に出始めたデジタルに特化した雑誌「デザインプレックス」はどうかというと、「デザインの現場」よりもっと早くになくなった。
廃刊、休刊?の理由の本当のところはわからない。しかしながらなくなるということは実際は売れていなかったということで、
創刊以来の熱心な読者の意見として、私のデザインの現場では年々、内容があまりリアルではなくなってきたという違和感はあった。
実用性というより、事例の知識でもつけておこうという予習用、学習用の読みもの、イベントにすぎなかったような気がする。
デザインやコンテンツの世界でも知名度や経験や技術だけではもう競争に勝てなくなってきたのではないか。
時々講師をしている学校で若い学生にあこがれのデザイナーの名前を聞くがめったに名前がでてくることはない。
10年以上前からそういう感じだ。
彼ら若い世代、現役バリバリの世代の目線は上を向いているのではなく、生活に、暮らしの方に向いている。
スターやあこがれはもはや必要ない。
本当の意味でのセンスやコンテンツの競争、くらしに根付いたサービスと商品づくりをしたものだけが勝利する時代に
もうとっくになっているような気がする。
最近、経営実務や分析の世界で
KPIが話題になっている。
KPIとは重要業績評価指標(Key Performance Indicator)の略で、どういう基準をもって成果を評価するかということである。
指標をもたずに闇雲にがんばるのではなく、ものごとを定量化し、比較検討できるようにすることで
より効果的な施策がだせるのではないかという、一種のビジネスフレームワークである。
重要業績評価指標は今に始まったことではなく、優れた戦略家は実は以前からおこなってきたことで
なぜいま話題になっているのかが逆に不思議な感じがする。
かつて日本陸軍の参謀で戦略家の堀 栄三は
『大本営参謀の情報戦記』で当時の
戦闘の趨勢をはかる指標は鉄量であると記している。
つまり
戦争に勝つのは戦場に投入される鉄量が多い方だということである。
この発見で日本軍はどうしたか。
日本は鉄量戦では勝てないので、鉄量に影響されない戦闘法に切り替えた。
具体的には
- 海からの艦砲射撃を発揮しない島の中央部などに陣地をつくる
- 米軍への水際攻撃を避ける
- 基地防護壁は敵戦艦の主砲に耐えるコンクリート厚2.5メートルにする
ということをした。
これをビジネスの世界にヨコテンすると
ビジネス弱者はいまある勝者の指標を明確にしてから、勝者の指標そのものを無効化する戦略をたてる。
また違う指標、自分に圧倒的に有利な指標をたてて実行する。
トレーダーやエキスパートではもはやコモディティ化されている日本では戦いには勝てないと
経営コンサルタントで客員准教授の故、瀧本 哲史氏は
「僕は君たちに武器を配りたい」で結論づけている。
マーケッターやイノベーター、リーダー、インベスターになる、もしくはそれらを兼ね備えるという方法しか日本では勝てないと語っている。
デザインやコンテンツの世界でもたしかに同じ風景がみえる。
単に手先が器用なことが重宝されたデジタル以前の時代、1990年あたり以前は過去となり、
いまやAdobeのフォトショップやイラストレーターはつかいこなせることが当たり前になっている。
ウエブでもhtmlくらいのコーディングができることは当たり前で、フロントエンドエンジニアであるための様々な技術は
誰もがYOUTUBEやドットインストールなどのオンライン学習サイトで費用をかけなくても学習できる環境はとっくの昔にできている。
そうなると真似ができない方法で新しい風景をつくるということができるかできないか、勝負はそこにかかってくる。
サードウェーブデザイン=手描きのデザインが台頭してきているのはその証拠で、
デジタルで誰もがデザイナーという時代への反動である。
つまり絵が描けないデザイナー、Adobeのデジタルツールのみで完結しているデザイナーはサードウェーブデザインの領域にははいれないし、
手描きデザインの領域ではデジタル完結デザイナーはいっさい戦えないということである。
手先が器用なことが重宝されたデジタル以前の時代に一部分、戻っているということだ。
これは真似ができない方法で新しい風景がうみだされたということになる。
「デザインの現場」という雑誌が随分以前になくなった。
かなり初期のころから愛読していたが、ある時期からはいつも同じようなメンバーで同じような作品や特集を組んでいたように思う。
これでは近々行き詰まるのではないかとおもっていた。デザインは伝統工芸ではないという感じをもっていた。
では90年代に出始めたデジタルに特化した雑誌「デザインプレックス」はどうかというと、「デザインの現場」よりもっと早くになくなった。
廃刊、休刊?の理由の本当のところはわからない。しかしながらなくなるということは実際は売れていなかったということで、
創刊以来の熱心な読者の意見として、私のデザインの現場では年々、内容があまりリアルではなくなってきたという違和感はあった。
実用性というより、事例の知識でもつけておこうという予習用、学習用の読みもの、イベントにすぎなかったような気がする。
デザインやコンテンツの世界でも知名度や経験や技術だけではもう競争に勝てなくなってきたのではないか。
時々講師をしている学校で若い学生にあこがれのデザイナーの名前を聞くがめったに名前がでてくることはない。
10年以上前からそういう感じだ。
彼ら若い世代、現役バリバリの世代の目線は上を向いているのではなく、生活に、暮らしの方に向いている。
スターやあこがれはもはや必要ない。
本当の意味でのセンスやコンテンツの競争、くらしに根付いたサービスと商品づくりをしたものだけが勝利する時代に
もうとっくになっているような気がする。