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ロジックへの偏愛

「最近、なんだか疲れが取れない」「気づけば一日中、頭がフル回転している」もしそう感じているなら、それは心が疲れているだけでなく、体の中の「あるセンサー」が錆びついているサインかもしれない。
現代を生きる私たちは、驚くほど「思考(ロジック)」を過剰に重視して生きている。
仕事のタスク、キャリアの選択、日々のスケジュール管理。
すべてを頭で考え、論理的に処理しようとする。
しかし、このロジックへの偏愛こそが、私たちから「内受容感覚(ないじゅようかんかく)」という大切な力を奪っている背景にある。
内受容感覚とは、一言でいえば「身体の内部センサー」だ。
心臓の鼓動、呼吸の深さ、胃腸の動き、あるいは「なんとなく体が重い」といった漠然とした体調の変化。
これらを脳がキャッチする感覚のことを指す。

本来、このセンサーが正常に働くからこそ、私たちは「疲れたから休もう」「喉が渇いたから水を飲もう」と、自分を適切に労ることができる。
しかし、思考優位の人間は、体の声よりも頭の損得勘定やスケジュールを優先しがちだ。
「まだタスクが残っているから動く」「時間になったから食べる」。
そうやって体のサインを無視し続けた結果、センサーのボリュームは麻痺し、ある日突然、限界を迎えて心身を崩してしまう。
この「脳の過熱」と「センサーの麻痺」を解決する、最もシンプルで強力な方法がある。
それが、「お風呂に入って、15分間ぼーっとする」ことだ。
「そんな単純なことでいいのか」と思うかもしれない。
しかし、スマホも本も音楽もすべて手放し、ただ湯船に浸かってぼーっとするとき、私たちの脳内では驚くべき変化が起きている。
脳には、外部のタスクを処理していないときにだけ起動する「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という回路がある。
お風呂でぼーっとしているとき、この回路が主役になり、脳は「今、体はどこが疲れているか」「呼吸のペースはどうか」といった内部のメンテナンスを集中して行い始める。
つまり、「ぼーっとする時間」とは、生産性のないサボりの時間などではない。
壊れた内部センサーを修理するための、極めてロジカルな調律の時間なのだ。
コツは、お風呂の電気を消して、脱衣所の明かりだけにするなど「薄暗い空間」にすること。
そして、スマホを絶対に持ち込まないことだ。
目や耳からの情報(外受容感覚)をシャットアウトすることで、脳の意識は強制的に「内側」へと引き戻される。
「お湯が肌に触れて温かい」「浮力で体がふわっと浮いている」頭の中で仕事の反省や明日の計画が始まったら、その都度、その「肌の感覚」に意識のアンカーを降ろす。
お風呂上がりに「あぁ、じわじわと温かくて気持ちいい」と感じられたなら、それは内受容感覚が、無事に目を覚ました証拠だ。
タイパ(タイムパフォーマンス)や効率ばかりが求められる時代だからこそ、意識的に「何もしない余白」を作る。

今夜はスマホを部屋に置いて、暗めのお風呂で、静かに自分の体とつながる時間を過ごしてみてはどうだろうか。

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